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2008年05月16日15時03分
システム手帳の草分け的存在で、英国ブランドの「ファイロファックス」の商品が国内の文具店で販売される際に、見本商品に実際の原産国とは異なる英国旗を表示しているのは消費者に誤解を与えるとして、公正取引委員会が景品表示法違反(原産国の不当表示)の疑いで調査していることがわかった。公取委は近く、同法違反での排除命令も視野に、輸入代理店に行政処分を出す方針。
ブランド商品は、ブランドを産んだ国と実際の製造地が同じであると、消費者が誤認しやすいため、公取委が監視を強化している分野のひとつだ。衣料品やメガネ業界などでは、実際の製造地を原産国として明記する取り組みが進んでいる。
問題となっているファイロファックスは戦前に英国で誕生し、海外ではシステム手帳の代名詞となっている。日本では84年に販売が始まり、高級ブランド手帳として浸透している。
関係者によると、商品は実際には中国で生産されているが、商品本体の見える場所には「中国製」の表示はない。一方で、店頭の見本は、ブランド名のロゴと英国旗が印字されたプレートを取り付けて陳列されていた。
景表法は、商品に原産国以外の地名や国名、国旗、紋章を表示することは不当表示にあたるとして禁じている。ファイロファックスの場合、商品自体に英国旗を表示しているわけではないが、公取委は消費者に誤認させると判断。国内販売を引き受けている輸入代理店の「日本シイベルヘグナー」(東京)に同法違反の疑いがあるとみている。同社は「調査について、何かを申し上げる段階にない」としている。
文具店関係者などによると、ファイロファックスのこうした表示方法をめぐっては、ネット上の掲示板で問題視する意見が出たり、消費者から不当表示を指摘する意見が消費者団体などに出されたりしていたという。昨年以降、取り扱う文具店の多くが、シールで覆ったり、国旗部分を切り抜いたりして英国旗が見えないような展示に変えて販売している。
衣料品業界では、ブランドが生まれた国名や国旗の表示自体は禁じていないが、縫製した国を原産国と定めており、公正競争規約で併記を義務づけている。例えば、バーバリーは英国ブランドだが、実際の縫製は日本国内か中国製が多い。こうした商品には、英国旗が記載されていても、商品のタグには「日本製」などと明記されている。