2008年9月26日

(エコ)CO2排出量:「見える化」 -  商品に表示、消費者の選択基準になるか @毎日

keyword:CO2、環境配慮、飲食物

モノの製造やサービスの提供で排出される温室効果ガスを、明示する「見える化」。【江口一】

 ◇ビール1缶161グラム

 サッポロビールは09年から、「黒ラベル」(350ミリリットル)に、製造から廃棄までの過程で生 じるCO2排出量を表示する「カーボン・フットプリント(炭素の足跡)」シールを張って販売する。日本初の「見える化」。

 社会環境室長の蜂須賀正章さんによると、04年に同社が作業を始めたころは「なぜそんなことを始めるんだ?」と、社内の理解も低かったという。

 取り組んだのは「ライフサイクル・アセスメント(LCA)」と呼ばれる作業。CO2排出量は「350ミリ1缶あたり161グラム」と判明。評価の過程で、アルミ缶製造工程の排出量が全体の半分以上を占めているこ とも分かった。

 ◇検討会乱立

 「見える化によって、消費者が的確な選択をするための情報を提供することが重要となる。来年度から試行的な導入実験を開始するが、軌道に乗れば、世界最大級の取り組みになる

 今年6月、福田康夫首相が明らかにした方針を合図に、各省庁が一斉にCO2見える化の検討に走り出している。

 経済産業省は、カーボン・フットプリント制度の導入を目指す。まず日用品や食料品を対象にし、徐々に家電やサービスなどの分野にも広げていく。現 在、CO2排出量を算出する手法の標準化や、統一ラベルについて検討中で、12月に開く環境製品展示会「エコプロダクツ2008」で約30社が試作品を出 品する予定だ。

 環境省は、家庭▽宅配便やホテルなどのサービス利用▽省エネ製品への買い替え▽旅行やイベント--などの分野で見える化に乗り出す。 排出量そのものに加え、星の数で排出の少なさを「格付け」したり、買い替えでどれだけCO2を削減できるかを明示するなど、表示の仕方も工夫する方針だ。カメラ付き携帯電話で読み込んで情報を表示する「QRコード」の活用も検討されている。

農水省は農作物や木材利用、国土交通省は運輸部門、厚生労働省は水道利用--など各省庁が見える化の可能性を検討する。

 海外ではイギリスやフランスを中心に、スーパーの日用品や運輸サービスなどで企業の取り組みが進む。国際標準化機構(ISO)は見える化の国際規格作りに乗り出しており、日本は試行実験などを通じて議論をリードしたい考え。

(ソース)毎日新聞 2008年9月8日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/science/news/20080908ddm016040026000c.html

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