2007年12月12日

(生産性) 「日本の小売業の生産性は本当に低いのか− Shepardモデルによる数値実験 − 」

ESRI Discussion Paper Series No.193

利用するモデルはShepard(JPE: 1991)にBertrand均衡の考え方を取り込んだものである。環境変化を表すシナリオは、(1)地域独占からBertrand型寡占競争へ、(2)消費者の選好の変化、(3)所得の低下、(4)賃金の下落、(5)労働の質の低下、という5段階を想定している。結果は以下のようにまとめられる。

上記のシナリオのもとではほぼ一貫して小売マージンは低下する。
独占から寡占への変化によって消費者の厚生は大幅に向上する。
消費者の評価が高いサービスのシェアが増えれば小売サービスの生産性は向上する。生産性は競争によって高まるとは限らない。
消費者の好みに生産性が左右される小売サービスでは、生産性の時系列比較や国際比較はほとんど意味がない。
真の政策は小売サービスにおける消費者の選択肢を増やすことである。生産性はその結果としてついてくるだけにすぎない。



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