2007年8月27日

(化学物質リスク) ネコの甲状腺疾患に難燃性化学物質(PBDE)が関連、ヒトにも影響?

米国の飼いネコに多くみられる原因不明の甲状腺機能亢進症が、カーペット、家具、マットレス、電気製品、さらにはペットフードにも含まれる難燃性化学物質(fire-retardant chemicals)であるポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)による可能性が報告された。この物質がヒトに有害との根拠は示されていないが、その可能性も否定できないという

 米国の飼いネコに多くみられる原因不明の甲状腺機能亢進症が、カーペット、家具、マットレス、電気製品、さらにはペットフードにも含まれる難燃性化学物質(fire-retardant chemicals)であるポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)による可能性が報告された。この物質がヒトに有害との根拠は示されていないが、その可能性も否定できないという。  研究を実施した米国環境保護庁(EPA)のLinda S. Birnbaum氏によると、PBDEへの曝露レベルはヒトよりもネコの方がはるかにが高い。甲状腺機能亢進症のネコが示す症状には、体重低下、食欲亢進、脱毛、興奮性などがある。老齢のネコに最も多い致死性疾患で、特に室内で飼われているネコはリスクが高い。ネコには念入りに身づくろいをする習性があるため、PBDEを含んだハウスダストを体内に取り込みやすいと考えられる。  PBDEの健康への影響が問題視されるようになったのは1990年代後半。動物研究でPBDEの肝毒性および神経毒性が示され、ハウスダストと母乳PBDE濃度との間に関係があることもわかっている。PBDE類の多くがメーカーの自主的な動きや政府の規制により減少してきているものの、分解されにくい物質であるため環境から消失するまでには長い時間を要するという。家具メーカーは、現在は代替物質を使用している。  米環境科学誌「Environmental Science & Technology」オンライン版に8月15日に掲載された今回の研究では、ネコ23匹(うち11匹が甲状腺機能亢進症)の血液検体を採取。疾患のあるネコは、若いネコおよび疾患のないネコに比べてPBDE値が3倍であった。PBDEは缶入りキャットフードにも認められ、特に魚介類フレーバーのものに多い。分析の結果、餌が缶入りフード中心のネコは、PBDE値がドライフードの場合の12倍であった。ネコのPBDE曝露は、米国成人の100倍にもなりうるという。  ネコの甲状腺機能亢進症がみられるようになったのは約30年前で、同じころに室内用品にPBDE類が利用され始めた。米国は世界で最もPBDEの利用が多く、ヒトのPBDE値も世界で最も高く、ネコの同疾患リスクも高いと思われる。現在はカナダ、オーストラリア、日本およびヨーロッパ各地でも同疾患が認められている。ヒトの罹患も増えており、例えばブッシュ元米国大統領とバーバラ夫人、さらに夫妻の飼うイヌも罹患している。(HealthDay News 8月15日) http://www.healthday.com/Article.asp?AID=607358 Copyright (C) 2007 ScoutNews, LLC. All rights reserved. 世界最新医療ニュース コンテンツ利用規約

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